住宅ローン控除とiDeCo
2021.4.26お金・設計・仕様
私自身、現場監督として家をつくることに専念していた十数年前は、
「お金について知らなくては・・・」とか
「お金について調べておかなくては・・」などとは
全く思っていませんでした。当時の話はこちらから【私が知らなかったお金のこと】
こんにちは。シンプルノート熱田/一宮スタジオ 堀内です。
よく耳にする「住宅ローン控除制度」という言葉があるかと思います。
住宅ローンを組みながら家を建てた場合、
10年にわたって所得税や住民税が還付される制度ですが、
おそらく十数年前の私のように、自分が払っている税金の額を知らない・・・
という方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はざっくりと例を挙げてお伝えしていきたいと思います。
数字の羅列となりますので、
数字が苦手な方は脳が拒否反応を起こしてしまうかもしれませんが、
めげずに最後まで目を通していただけると嬉しいです。
仮に、あなたがこれから家を建てるとして、
あなたとあなたの配偶者の年収をどちらも300万円、
(※計算しやすくするため10年間このままの給料だとします)
住宅ローン借入を3000万円、金利を1%、返済は35年、
住宅ローンの返済開始を1月、
土地・建物の持ち分をそれぞれ2分の1ずつ、
納めている所得税を
それぞれ年間6万円(所得税率は5%)ずつ、
納めている住民税を
それぞれ年間12万円(住民税率は10%)ずつと仮定し、
その恩恵がどれくらいになるのか?
ということを、計算してみましょう。
まずは、その年ごとの年末の借入残高を計算します。
(年末借入残高)
1年目:1464万円ずつ(2928万円÷2)
2年目:1428万円ずつ(2856万円÷2)
3年目:1391万円ずつ(2782万円÷2)
4年目:1354万円ずつ(2708万円÷2)
5年目:1317万円ずつ(2634万円÷2)
6年目:1279万円ずつ(2558万円÷2)
7年目:1241万円ずつ(2482万円÷2)
8年目:1202万円ずつ(2404万円÷2)
9年目:1163万円ずつ(2326万円÷2)
10年目:1124万円ずつ(2248万円÷2)
続いて、この年末の借入残高をもとに、
還付される税金の上限額を計算します。
(還付される税金の上限額=年末借入残高×1%)
1年目:14.64万円ずつ(29.28万円÷2)
2年目:14.28万円ずつ(28.56万円÷2)
3年目:13.91万円ずつ(27.82万円÷2)
4年目:13.54万円ずつ(27.08万円÷2)
5年目:13.17万円ずつ(26.34万円÷2)
6年目:12.79万円ずつ(25.58万円÷2)
7年目:12.41万円ずつ(24.82万円÷2)
8年目:12.02万円ずつ(24.04万円÷2)
9年目:11.63万円ずつ(23.26万円÷2)
10年目:11.24万円ずつ(22.48万円÷2)
これらを全て合計した金額が、
住宅ローン控除によって得られる
最大値の恩恵なのですが、
住宅ローンを組む時には、
還付される税金のことも考慮しておけば、
より多くのお金を手元に残しやすくなります。
ちなみに、このご家庭の場合、
奥さんにも連帯債務で入っていただき、
持ち分を2分の1ずつにすることで、
この恩恵を最大値で受けられるように計算してあります。
内訳は以下のようになります。
(所得税は年末調整によって還付され、住民税は翌年軽減されます)
1年目:14.64万円-6万円(所得税)-8.64万円(住民税)=0円
2年目:14.28万円-6万円(所得税)-8.28万円(住民税)=0円
3年目:13.91万円-6万円(所得税)-7.91万円(住民税)=0円
4年目:13.54万円-6万円(所得税)-7.54万円(住民税)=0円
5年目:13.17万円-6万円(所得税)-7.17万円(住民税)=0円
6年目:12.79万円-6万円(所得税)-6.79万円(住民税)=0円
7年目:12.41万円-6万円(所得税)-6.41万円(住民税)=0円
8年目:12.02万円-6万円(所得税)-6.02万円(住民税)=0円
9年目:11.63万円-6万円(所得税)-5.63万円(住民税)=0円
10年目:11.24万円-6万円(所得税)-5.24万円(住民税)=0円
以上、夫婦それぞれが合計129.63万円ずつ、
合わせて259.26万円もの金額が、
家を建てることによって手元に戻ってくるというわけです。
数字がたくさんで、考えるのが面倒くさい・・・という方も
いらっしゃるかもしれませんが、具体的な金額にすると、
より自分事として考えられるようになるという側面もあります。
そして・・・
今回のブログのタイトルにもついている、
個人型の確定拠出年金の“iDeCo”ですが、
これに加入すれば、さらに税金の還付が受けられるという点を見ていきましょう。
仮に、ご夫婦それぞれ1万円ずつ、
“iDeCo”に加入するとして計算してみます。
1万円×12ヶ月=12万円
(iDeCoによって積立される年間の年金額)
12万円×5%(所得税の税率)=6,000円
(iDeCoによって還付される所得税額)
6万円―6,000円=54,000円
(住宅ローン控除によって還付される所得税額)
12万円×10%=12,000円
(iDeCoによってカットされる住民税額)
12万円―12,000円=108,000円
(住宅ローン控除によってカットされる住民税の上限額)
では、これを当てはめて計算していってみましょう。
・iDeCoによる恩恵
6,000円×10年=60,000円(還付される所得税額)
12,000円×10年=120,000円(カットされる住民税額)
合計:180,000円
・住宅ローン控除による恩恵
1年目:14.64万円-5.4万円(所得税)-9.24万円(住民税)=0円
2年目:14.28万円-5.4万円(所得税)-8.88万円(住民税)=0円
3年目:13.91万円-5.4万円(所得税)-8.51万円(住民税)=0円
4年目:13.54万円-5.4万円(所得税)-8.14万円(住民税)=0円
5年目:13.17万円-5.4万円(所得税)-7.77万円(住民税)=0円
6年目:12.79万円-5.4万円(所得税)-7.39万円(住民税)=0円
7年目:12.41万円-5.4万円(所得税)-7.01万円(住民税)=0円
8年目:12.02万円-5.4万円(所得税)-6.62万円(住民税)=0円
9年目:11.63万円-5.4万円(所得税)-6.23万円(住民税)=0円
10年目:11.24万円-5.4万円(所得税)-5.84万円(住民税)=0円
合計129.63万円
・iDeCo+住宅ローン控除の恩恵
=180,000円+1,296,300円=1,476,300円ずつ
夫婦合計=1,476,300円×2人=2,952,600円
このような計算結果となり、
iDeCoに加入した分は
さらに税金控除の恩恵が受けられるというわけなんですよね。
しかも、iDeCoを掛けることによって、
120万円ずつ(1万円×12ヶ月×10年)
将来受け取れる年金が増えたことにもなりますしね。
今回は、数字をやたらと羅列してしまったので
数字アレルギーの方にとっては
全く面白くない内容だったかもしれません・・・。
しかし、お金の話は、とても大切なことであり、
知っているか知らないかで、
将来大きな差が生まれることになります。
私は、元々は現場監督で、
金融機関に勤めていたわけでも、保険を売っていたわけでもありません。
昔の私のように、今、この数字の羅列を見て「よく分からない・・・・」と
思われたあなたの気持ちもよく分かります。
だからこそ、お金の話は苦手だなと思っている方こそ、
いつでもご相談いただければと思います。
家づくりをする時には、
お金のことについても少しずつ知っていただき
住宅予算の計画から、住宅ローンの借り入れも、節税も
ご自身で理解し、納得し、戦略を持てるように
サポートさせていただければと思います。
では、また。