三協建設株式会社

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結露とクロス

2021.1.8
お金・設計・仕様

段々と寒さが厳しくなってきましたね。

この時期になると、結露にお悩みの方もいらっしゃると思います。

今日は結露についてお伝えしたいと思います。

こんにちは。三協建設 堀内です。

 

先日、築7年のお宅に伺ってきました。

別件での訪問だったのですが、キッチンとダイニングが独立した形の間取りのうちの

キッチンのクロスだけがはがれてきていることについて

お客様からご質問いただきましたので、ここでご紹介させて頂きます。

 

よく、クロスが剥がれてくると

「クロス屋さんの施工が悪いんじゃないだろうか・・・」というご質問を頂くことがあります。

実はこういった現象のほとんどはクロス屋さんの施工状態が原因ではないんです。

 

その証拠に、同じクロス屋さんが施工した他の場所のクロスは

全く剥がれていないんです。

 

では、なぜキッチンのクロスだけがこういった状態になったのか?

それに大きく関わるのが、今日のテーマ「結露」です。

 

まずは、結露の仕組みについて考えてみましょう。

 

熱は高いところから、低いところに移動します。

そして、一番熱が逃げやすいのは「開口部」 つまり、窓です。

冬場の夜間、外気温が0℃で

室温が20℃だったと仮定しましょう。

その差は20℃。

 

そして、その間を隔てるのが窓ガラス1枚だったとしたら、

窓ガラス面では室温は、外気温近くまで一気に冷やされることになります。

 

ここで重要なワードが

「飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)」です。

 

中学の理科で習ったと思うのですが、覚えていらっしゃいますか?

液体の水が気体になったものが水蒸気です。

水は私たちの目には見えなくても、

水蒸気として空気中に含まれています。

 

1㎥の空間に存在できる水蒸気の質量を

gで表したものが「飽和水蒸気量」です。

この「飽和水蒸気量」は温度が低いと小さくなります。

 

気温が20℃ の時、飽和水蒸気量は1立方メートルあたり17.2g

そして、気温が 0℃ の時、飽和水蒸気量は 1立方メートルあたり4.85gとなります。

 

窓ガラス1枚を隔てて、この温度の差があった場合

室温では水蒸気として存在していられた水が

窓ガラス付近で外気温近くまで一気に冷やされると

水滴という私たちの目に見える姿になって、窓ガラスにつくわけです。

 

これが、結露の仕組みです。

 

気温が 0℃ で湿度100%でも

1㎥あたりの水分量は4.85gしかありません。

この水分量のまま、気温を20℃ まで上げると

湿度は約28%になるということです。

 

「冬は乾燥する」といわれるのは

気温が低いため、大気中に含むことができる

水蒸気の量自体が減るからなのです。

 

近年建てられる住宅では、複層ガラスが普及していますが

築年数の経った断熱性の低い住宅は

まだまだ単板ガラスである場合も多いのではないでしょうか。

 

単板ガラスは一枚の板のガラスです。

室温と外気温に一枚のガラスが触れています。

ガラス表面から熱が急激に奪われるため

結露しやすいということになります。

 

それに対して、複層ガラスは、従来の単板ガラス2枚と

乾燥空気が入った中空層によって構成されています。

中空層にアルゴンガスや真空層が

含まれる複層ガラスは断熱効果があり

結露しにくいという特徴があります。

 

結露しにくいという特徴はありますが、

決して「絶対に結露しない」というわけではありませんので

誤解のないようにしていただきたいです。

 

よく「複層ガラスなら結露しないんでしょう?」と

言われる方もいらっしゃいますが、

結露は温度の差による

「飽和水蒸気量」の違いによっておこるので

複層ガラスでも結露しているような場合は

もしかしたら、快適に過ごせる温度に適した湿度以上の

たくさんの湿気があるのかもしれません。

計画的な換気が実施されているか

ぜひ一度確認してみてください。

 

さて、仮にキッチンが加湿状態で

室温24℃、湿度が70%だった場合

1㎥に含まれる水蒸気量は

15.26g程度ということになります。

 

気温が17℃ の時、飽和水蒸気量は一立方メートルあたり14.5g

 

ということは、実は室温が17℃で

結露してしまうということになるんです。

 

つまり、外気と触れて結露が目に見える窓だけでなく

家の中でも起こりうるのです。

 

この現象が冒頭にご紹介した、キッチンのクロスの剝れの原因となります。

 

間取りがキッチンダイニングが独立した形となっているこちらのお家では

キッチン部分は暖かいため、飽和水蒸気量も多くなります。

しかし、キッチン以外の部屋や廊下の温度は

キッチンに比べると低くなっていました。

このように同じ家の中でも温度差が大きいと、

空気が抱えきれなくなった水蒸気が結露という状態となって表れます。

 

この家の中での壁面の結露を防ぐ方法としては、

家の中での温度差をできるだけなくすこと、

そして、換気を計画的に実施することです。

 

家の中での温度差をなくすことは、

壁面の結露対策だけでなく、これからの冬場に怖い

ヒートショックの対策にもなります。

 

クロスの剝れが気になる・・・という方がいらっしゃったら

一度、家の中のそれぞれの部屋や廊下の温度と湿度の確認と

換気状況を確認されてみてくださいね!

 

そして、これから家を建てるという方は

家の中で温度差が出ないような間取りという視点でも

見てみてくださいね!

 

では、また。

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