家を建てた後の予定外の出費?!
2019.2.6お金・設計・仕様
「家は建てたらゴールではありません」
と、何度も繰り返しお伝えしているのには
理由があります。
こんにちは。三協建設 堀内です。
「家を建てる」という部分だけに
注目してお金の計画を立てていらっしゃる方は
非常に多いと思います。
新しい家での暮らしが始まった後は
住宅ローンの支払い・・・だけなのでしょうか?
さて、お金のプロというと
誰を想像されますか?
税理士さん
会計士さん
銀行員さん
証券会社員さん
保険会社員さん
などなど、お金に関わる仕事に携わる方は
たくさんいらっしゃいますね。
その中でも、
ライフプラン等のアドバイスなど
長期的な視点でお金の計画を立てるプロといえば
ファイナンシャルプランナーさんですよね。
私の数年前からの知り合いに、
CFPと呼ばれる「世界が認めるプロフェッショナルFPの証」をお持ちで、
他のFP資格保持者からも相談を受ける程の、
資産形成の専門家の方がいます。
とても優秀で、真っ直ぐで、尊敬できる方なので
私も時々、相談にのってもらっているのですが。
その方とこんなやり取りをしたのが
印象的だったのでご紹介させていただきますね。
その方は、十数年前に某ハウスメーカーさんで
家を建てられたそうです。
先日、その家の給湯器が壊れたそうです。
お湯が全く出ず、お風呂にも入れず困ってしまい
家を建てたハウスメーカーさんに
修理の見積りを依頼されたところ、
給湯器を取り替えるしかないと言われ、
その金額が思っていたよりも高く、納期もかかってしまう・・
ということで、私に相談がありました。
「給湯器ってこんなに早く壊れるものなの?
取り替えるしかないの?しかもこんなに高いものなの?」と。
金額的にはそんなに不当に高いわけではないこと、
築十数年ということであれば、取り替えの時期でもあることを
お伝えしました。
「長い期間お風呂に入れないのは困るなぁ~」
とのことだったので、
弊社でおつきあいのある業者さんにきいてみたところ、
運良く、たまたま在庫をお持ちだったので
結果的には、少し安く・早めに対応できたのですが。
それは、置いておいて。
対応後、「助かったよ~。ありがとう~」
とお礼の電話を頂いた際に
こう言われました。
「いやぁ~。それにしても予定外の出費だったよ~。」
お金のプロフェッショナルの方ですよ(笑)
長期的な計画を立てるように
お客様にお伝えされている側の方が
「予定外の出費」と。
家を建てた後、十数年といえば
いろいろな部分の交換・メンテナンスが
必要な時期となってきます。
私は、今後必要となるであろう
メンテナンスについてお伝えさせて頂き、
「計画的に予算取りをしておいてください」
とお伝えさせていただきました。
「わかりました~先生(笑)」
って、返事をされちゃいましたが(笑)
このようにお金のプロの方でも、
住宅という、少し特殊な分野においては
予算を組んでいなかったり、
予算オーバーをしてしまったり、
という現実があるのです。
家を建てる時には、
「家を建てる」という部分だけに
着目しがちです。
そして
「家を建てたら、もう安心!」
となんとなく思っていませんか?
家を建てたばかりの時は
全てが真新しい状態ですよね。
「新しく家を建てたら、長持ちするだろう!」
と、目の前に出来上がった真新しい家は
放っておいても
ずーっとそのままの状態を
保っている・・というような
イメージではありませんか?
しかし、例えば外壁は
日光に当たり、雨・風にも
さらされ続けている
劣化しやすい部分でもあるので
一般的には10年を目安に
点検・メンテナンスすることが推奨されています。
もちろん、立地条件や使用している材質によって
それぞれ違ってきますが、
15年経過するくらいまでには
メンテナンスされる場合が多いです。
今回の話で出てきた
給湯器については
点検・交換の目安は
おおよそ10年といわれています。
このように、あらかじめ分かっている
メンテナンス費用は
実は「予定外の出費」ではありません。
私が家づくりの計画の際に
あなたに是非把握しておいて頂きたいとお伝えしている
「生涯において使ってもよい住宅予算」は
家を「建てる時」までの予算ではありません。
「生涯において」の予算です。
こういった〇年後に必要となる
交換・メンテナンス費用も見越した上で
全体を見るようにして頂きたいのです。
家づくりにおいては、
「せっかくだから」
「一生に一度のことだから」
「あとから後悔したくないから」
と、あれもこれもと追加したくなってしまう方も
多いのではないでしょうか。
目の前の要望を一つでも多く叶えたいという
心理が働くのは当然のことですよね。
車は買ったら定期的に車検があり
費用がかかることはみなさんご存じです。
家も同じように定期的にメンテナンスが
必要であり、費用もかかります。
しかし、家を建てる前に
そういった費用のことまで把握されている方は
実はほとんどいらっしゃらないのでは
ないでしょうか。
そして、
「これから素敵な家を建てるぞ~!」
あれもこれも・・・と上がっている
お客様の気持ちに水を差すような話である
将来的なメンテナンス費用について
住宅業界側からも
伝えきれていないという現状もあります。
だから、長期的な展望をもって
資産形成を勧めるお金のプロでさえも
家についての長期的なメンテナンス費用を
あらかじめプランニングできていなかった
という事態が起き得るのです。
「家を建てる」時点ではまだ来ぬ先の、
これからの未来に
現実的にお金がかかることを伝えられたら、
あれもこれも・・と、欲しくなっている
お客様のテンションは
下がってしまうかもしれません。
でも。
それでも。
私はやっぱりあなたにお伝えしておきたいのです。
家という「モノ」だけを見るのではなく
暮らしという「コト」を見つめてほしいから。
「家は建てたらゴールではありません」
では、また。