収納と建築コストの関係
2024.8.2お金・設計・仕様
毎月のように、様々なものの
値上げのニュースが流れていますね。
建築コストが高止まりしている現在、
少しでもコストを抑えながら家を建てるためには、
家の面積を抑えることが欠かせない要素ですが、
そのためには図面の見方を知っておく必要があります。
というのも、平面図(間取図)を
上からずっと眺めていると
部屋は狭いような気がしてくるし、
収納は足りないような気がしてくるからです。
一度、そう思ってしまうと、
見れば見るほど不安が膨らみ
本来、家の面積は小さくしたいところなのに、
逆に広げてしまうという事態が発生する可能性が
高くなってしまいます。
そこで、今回は図面の見方について
お伝えしていきたいと思います。
こんにちは。シンプルノート熱田/一宮スタジオ 堀内です。
例えば、収納のポテンシャルは
「床面積」というよりは、
「壁面積」によって違ってくるのですが、
これを知らないまま家を建ててしまうと
単純に「床面積」だけを
増やそうとしてしまいます。
そして床面積を増やした代償として
建築コスト上昇のダメージを
食らうことになります。
2帖の収納を追加でつくれば、
単純に70〜80万円ほど
コストアップするという感じですね。
2帖もの収納を追加でつくると
入り口をどこにつくるか?によっても
分量は変わってくるものの、
一般的には1段あたり2.93m
物が置けるようになるので、
仮に棚板を4枚設置したとしたら
5段トータルで14.65mも
物が置ける場所が増えるので
もちろん収納量は増えていますよね。
これが「床面積」増加による
収納力アップという方法ですね。
一方で「壁面積」を上手く使えば
コストを増やすことなく
先程の床面積アップと同等か
あるいはそれ以上に収納力を
アップさせることが出来ます。
例えば、6帖のお部屋は
長手方向が有効寸法で3m51cm、
短手方向で2m60cmの部屋ですが、
この短手方向に窓をつくらず
一面を壁にした場合、
この壁面全てを収納として
使うことが出来るようになります。
つまり、1段あたり2m60cm
物が置けるようになるので、
先程の2帖の収納より少し劣るものの
ほぼ同等近く物が置けるということですね。
あるいは、
長手方向に棚を設置するとなると、
1段あたり3m51cm
物が置けるようになるので、
先程の2帖の収納以上に
物が置けるということですね。
もちろん、床面積は
全く増やしていないので、
コストアップも必要ありません。
とはいえ、この場合
部屋の中に棚を設置するため
部屋の有効寸法がその分小さくなるので、
それが嫌だという方もいらっしゃるかもしれないし、
収納が丸見えになるので、
隠すために「扉をつけたい」となり、
そうなれば扉1枚あたり4万円ぐらいの
コストが必要になるので、
計12〜16万円はコストが
アップしてしまう計算にはなりますが。
それでもわざわざ別で収納をつくるのに比べたら
ずいぶんと割安ではありますよね。
そして収納を考える上で
知っておいていただきたいことがもう1つあります。
それは、通り抜け動線や回遊動線は
「壁が有効に使えなくなる」ということです。
つまり、床面積の割に
収納のポテンシャルが低くなる
というわけですね。
例えば4帖のウォークインクローゼットは、
壁面積を有効に活用すれば
1段あたり7mもの棚を設置することが出来るのですが、
仮にこの収納を通り抜け出来るようにしてしまうと、
その分量が一気に半減してしまいます。
片側の壁しか使えなくなるからです。
要するに、通り抜け動線にすると、
名目上は4帖収納があるんだけど、
実質は2帖分の収納しかないのと
同じになってしまうというわけなんですよね。
もちろん、利便性は上がりますが、
この収納力と比較した上で、
検討していただきたいと思っています。
単純にそれだけで
コストを70〜80万円も
縮めることが出来るからです。
これから家を建てようとお考えの方は、
こういった視点も持った上で、
間取りを決めていただけたらと思います。
では、また。